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「……ごめんね?
我慢できずに手出しちゃって」
耳たぶに光るピアス。
慈雨にぃはそれに触れて、目を細める。
16歳の時にくれたこれ。
「本当はあのときに伝えればよかったんだよね?
でも、ごめん輝仁さんとの約束だったんだ」
「ーー・・・パパ?」
「うん、そう輝仁さんに言われたんだ。
『もしるうのことを好きになったら、高校卒業するときにプロポーズしてね』って。」
……それって……
グッと込み上げてくるものを噛み締める。
「ん?」
「……パパに言われたからですか?
わたしに、だから?」
遺言だから、プロポーズ?
「違うよ『るうのことを好きになったら』っていう大前提があるでしょう?」
「ん」
こしこしと、その大きな手で頬を拭われる。
「それでそれで?
早く聞かせなさいよぉ」
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