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街からトロルの巣窟までは険しい山道を上り、そこから20分もあれば着くほど意外と近い場所にあった。
道中の魔物は足早に出ていったマルベスさんの蹂躙によって壊滅していたので、後を追ってきた俺たちは楽にトロルの巣窟までたどり着いた。
このままマルベスさんがトロルの巣窟でも蹂躙してしまったら服従させる魔物が少なくなる。
それは避けたいと思ったユウは提案をする。
「なあ、勝負しないか? 魔法使いごとき職業の俺が言うのも恥ずかしいが、誰がこのダンジョンのボスを倒すのが早いかとかさ!」
「うむ、面白い! 受けてたつ!」
迷いなく返事をしたのは勿論マルベス
「では、2チームに別れて行動してみますか? さすがに単独行動はパーティーの意味がなくなってしまうのでね」
そう答えるのは、ちょっと乗り気なホーリーナイトのマイクさん。
「ユウ…いっしょ」
いつの間にか隣にきていたのはカイナ。どうやら俺と行動するようだ。
「じゃあ、先に行くぜ!」
「僕もいるの忘れてませんか?」
またも足早にダンジョンへ侵入していくマルベスさんと、その後を追って駆けていくマイクさん。
「じゃあ、ぼちぼち俺たちも行くか?」
「ぼちぼち…行く」
こうして、初のダンジョンをカイナと進んでいくのであった。
数分ほど、右へ左へ曲がり地下に繋がる階段を下り始めたころ。
「そういえばカイナは職業が見えないけどなんでなんだ?」
普通、カモフラージュなどの職業を誤魔化すためのなら、能力や特定の魔法を習得すればいい。
しかし、職業を表示させないことは不可能なはずなのだ。
「職業は…魔王の細胞を受け継ぎし者。だから…職業は表示されない」
なるほど、魔王の細胞を受け継ぎし者か。たしか特殊上位職業の欄にあった。
魔王を倒した伝説の勇者は、その細胞を国王に献上した。その細胞をある科学者が人間の子供を実験に造ったが失敗に終わった。
つまり、失敗したと思われた実験は成功してて、さらに最近目覚めた? って感じで憶測を考える。
「あまり…驚かない。初めて」
「そりゃーね。俺も魔法使いじゃないし! 君がパーティー組んでくれるなら秘密教えてあげるけど?」
魔王の細胞を受け継いでるってことは、魔王の子孫みたいなもんで、つまり魔物を召喚することが出来る可能生もあるってことだ。
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