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「メルやん、呼び出し急だよー。明日も学校があるんだけど?」
俺の隣から、フシギが面倒くさそうにぬいぐるみ…メルやんに嫌味を込めて言う。
「ごめんニョ。はい、謝ったからこの話はもう終わったニョね。んなことより、ホラ!席に着くニョ」
メルやんがそう言った瞬間、フシギが浮消えた。どこに行ったのかは知っているので、俺は黙ったまま上を見上げる。そこには、椅子があった。
空中に浮いた椅子だ。
周囲を見ると、幾つもの豪奢な装飾椅子が宙に浮き、そこには人が座っていた。しかし、決定的に顔が見えない。この空間では、他者の顔にはそれぞれの№が表示されている。俺とフシギの間ではお互い設定をいじっているので、素顔が見えるが。
基本的この空間内でのお互いの素顔、素性は秘密。ま、知り合いはいるけどね。
言葉で説明するのが難しい程に、超常的なこの空間は“ベツレヘムの星”と呼ばれる。
「えー、ある程度揃ったとこで本題に入るニョ!おっと、君を忘れていたニョ。ほいよ」
メルやんは、空中に漂う椅子のちょうど中央に浮遊し、司会進行を始めようとするが、やっと俺の存在を認識してくれたようで、フシギの椅子の近くに移動させてくれた。
いつもながら、俺の椅子は何でパイプ椅子?しかも身動きしてないのに、めっちゃ軋むんだけど?
そんな俺の気持ちを置き去りにして話は進む。
「今日の夕方頃、ディノニュートが捕獲されたニョ!」
「はーい!それボクだお!キラピカ!」
自己主張強いな。ま、あいつは目立つの嫌いじゃないしな。
「№95がやってくれたんニョけど、その個体からちょっと気になる情報を得たんニョ!さて、ここから先は、協力者に説明してもらおうニョ」
メルやんがそう言うと、メルやんの隣に突如として一人の男が現れた。薄緑色のスーツを着こなす、一見するとどこにでもいそうな中年サラリーマン。うん、くたびれ感がハンパない。
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