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まだ少し冷える朝。
「くっはぁー、眠い…」
朝日が照らす通学路を歩く。時間的にはまだ早いため、何度もでも言おう、眠い。
「ハカセ、また夜更かし?」
ほどほどにしといた方がいいよ?やんわりと俺に話しかけるのは、隣を歩く男子制服をぴしっと着こなした我が友達、フカワ君。その容姿は、呆れる位に整っている。
癖っ毛の黒髪に、ピシッと伸ばされた背筋。更に優しげに緩められた口元。やべぇ、今日も朝から素敵やん!
「ちょ、どうしたのさハカセ?すごい笑顔なんだけど?さっきまでの眠さはどこにいったのさ?」
「いや、ごめん」
おっといかん。フカワ君のあまりの可愛さに思考回路がトンでいたみたいだね。
フカワ君にドン引きされるのはキツイ。いや、自殺ものだ。
「ほら、ハカセ。少し急がないと、そろそろ時間が…ね?」
やんわりとそう言ってくれるフカワ君。ああ、フカワ君。
「そだね!行こう!早く行こう!二人で!」
やべぇ、また滾ってキ・タ・ゼ!
あ、ちなみに誤解がないように知っておいて欲しいんだけど、フカワ君は……
「ぐっどもーにんぐムスメっ!」
「ごまきっ」
俺の思考は中断。背後からの綺麗なドロップキックによって。
「背骨が……折れてる…?」
「ちょ、落ち着いてよハカセ!膝ついて四つん這いになれてる時点で大丈夫だから!」
ぐぅ、フカワ君……状況解説あざす…
とりあえずお礼もそこそこに、俺の背骨を折った相手を睨む。
「おいコラ、フシギなにするか」
「いや、ハカセ……何で片言なの?どうしたの?」
フカワ君のツッコミのタイミングは神だな。
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