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フシギの指さす方向をみると、そこにいたのは怪物。ま、一言で表すとそんなとこだ。
その容姿は体長3m程の犬のような姿。あくまでも『ような』と言ったのは、両前足から生える巨大な2本の角と真っ赤な体毛、そして眼も3つだ。
そいつは3つの眼で私達をギロリと睨みつけると、猛然と突進してきた!
「来たぞ、フシギ!」
「ちょ、ハカセ慌てすぎ、テラワロス!」
「いいから早くしろ!」
怪物は既に間近だ。こえー!
「わかったお!そんじゃ、いっくおー!」
そう言うとフシギは素早く俺の眼前に位置取る。
その手にはオレンジ色の携帯ゲーム機、MSPが握られている。うん、携帯ゲーム機で、すごく人気のあるポピュラーなものだ。
画面に浮かぶ、“Ready?”の文字。
「解放っ…だお!」
瞬間、眩い光がフシギの体を包み込む。
「低級霊が憑依したっぽいね?んじゃ、とりあえず先手必勝!撃滅殲滅!」
元々は野良犬か何かか?
俺がそんなことを考えているうちに、容姿に似合わぬ物騒な言葉と共に、光に怯んだ怪物犬に向かって蹴りを繰り出すフシギ。
その動きは常人を遥かに超え、もちろん蹴りの威力も段違いだ。
撃音と共に熊もどきの頭部に叩き込まれた飛び回し蹴り。
「ゴガアァ!」
苦悶の声と共に吹っ飛ぶ怪物犬。
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