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残り雪に、朝晩の厳しい冷え込み。
蕾にはようやくほんのり赤みが差したものの、まだまだ開花には時が必要な桜の花。
グレー基調、所々に水色が覗く斑模様の空。
川幅が大きくて水量も多い、雄大な千曲川…否、こちらでは信濃川って言うんだっけ?
そのほとりに私が今日から通う大学がある。
四月一日、長岡の街。
知らない土地、知らない人しかいない大学の入学式。
緊張していた私、
たまたま隣のパイプ椅子に座っていた男の子と目が合った。
彼はニコリと微笑み軽く会釈する。
私もそれにつられてニコリと微笑み、コクリと会釈。
少しだけ緊張がほぐれた。
「どうも初めまして、僕、津沢晴」
「私、井波春子」
「あ、偶然。君もハルなんだ」
彼は嬉しそうに話しかけてくる。
爽やかで、とても好印象。
「宜しく春子さん」
「こちらこそ晴くん」
私たちは少しだけお互いのことを紹介しあった。
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