198人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうだな。お前は十六歳の葉月美希。俺の彼女は大学生…。どうやってこの時代にタイムスリップした?」
美希はプイッとそっぽを向いた。
「葉月、お前…二股してるのか?だから俺に嘘をついたのか」
「…二股?」
「そうだ、花菻高校の男子だ。付き合ってるらしいな」
「滝沢先生、タイムスリップとか二股とか、勘違いしてませんか?私、滝沢先生の彼女ではありません」
「ふーん」
俺は席を立ち、美希を後ろから抱き締める。
「…ひゃっ、やめて下さい。先生、セクハラだよ。大声出すよ」
「大声を出してもいいよ。俺は真実が知りたいんだ」
美希の耳から眼鏡を引き抜く。
「わ、わ、やめて!」
美希は両手で顔を隠した。
俺は美希を抱き締めていた手をほどく。
「俺もアホやな。子供の嘘に気付かへんなんて。おもろしろかったか?俺をからこうて、さぞおもろしろかったやろ」
「…ち…がう」
美希の目に涙が滲んだ。
最初のコメントを投稿しよう!