★紫☆

9/24
前へ
/24ページ
次へ
「いや、いたはずなんだ。なのに見たら消えてるんだ。どこにも彼女はいない。どうやらタイムスリップしたらしい」 「タイムスリップ?」 葉月は怪訝そうな顔で俺を見つめた。 「あはは…滝沢先生、頭大丈夫ですか?そんなこと私に暴露して大丈夫なの?」 「いや、全然大丈夫じゃない。俺はどうやらイカれたみたいだ。大学一年生の彼女が、高校生の姿で俺の目の前にいるんだから」 葉月がゴクンと息をのむ。 明らかに動揺し、視線は右往左往し、体もソワソワと落ち着かない。 「お前は…誰なんだ?」 葉月は唇をキュッと結んだ。唇は微かに震えている。 「…葉月美希。滝沢先生は担任なんだから、私が誰かわかってるでしょう」
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

198人が本棚に入れています
本棚に追加