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爽快。すれ違うヤツの殆どが驚いてる。
痛い程の視線は、握られてる2人の手に注がれていた。
その手を無理にほどこうとしてくるが、俺はそうさせない。
「やだよ。せっかく見せびらかしてんのに?」
囁く様に顔を近付けて、少しの意地悪。
「ち…近いから!」
そう言ってそっぽを向いたのに、耳が赤いのでバレバレ。
そんな反応が可愛くて苛めたくなる。
「あ、照れてんの?顔見せて?」
からかい調子を隠し切れないのは仕方ない。だって隣に居れるから。
「あぁーあ、残念。教室に着いちゃった」
せっかく繋いだのに放さなきゃいけない。
「着いたからもう放して」
名残惜しい俺とは裏腹に、うんざりした様な声を発する。
ねぇ。嫌でも拒否してても。
…離してあげれないから。
だってせっかく手に入れたから。
あの瞬間から
たぶんずっと…
気付かなかっただけで
こうして手を繋ぐ事を望んでいた。
俺のモノだと知らしめる為に。
いつかは心も俺のモノになってくれるだろうか?
負から始まる感情は
正になりやすいから。
だからきっと高望みじゃなく
彼氏と彼女を実現したい。
それまで少々の意地悪は許してね?
おわり
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