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「幼い頃の約束を、一度私は忘れてしまいました。
そのせいで、彼女は聴覚を失った。
……左だけですけど
表情も、豊かだったのに、ほとんどなくしてしまった。」
ゆっくりと語る言葉を。
アカネさんは目を閉じて聞き入る。
「どうにかして戻したくて。
世話をして。
いつのまにか、少女から女性に変わっていく彼女に心を奪われて。」
「その彼女は今?」
「……僕のそばにはいません。
大切なことを、伝えることを忘れてしまったんです。
けれど、探しだして、必ず捕まえます」
「……ふーん」
こんなものでいいのだろうか。
不安だ
アカネさんを見れば。
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