第1話

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ーーーーーーーー ーー・・・ 「たまには一緒に寝ようよ」 服を着るるうを後ろから抱き締めて、指にくるくるの毛先を絡める。 あー、ふわふわしてて、ずっとこうしてたい。 なんならもう一回ーー・・・と、思うけれど。 学生のるうに無理させたくはない。 だから一緒に寝るので我慢する。 なのに。 その綺麗な細い指は壁にかけられた時計を指差す。 「ん?あー、12時越えたね」 あー、言いたいこと分かった。 「もう勤務時間を終えたので。 失礼します」 「残念」 "勤務時間"とか言わないでほしいんだけど。 「おやすみ、るう」 「おやすみなさいませ慈雨様」 「違うでしょ?」 るうが理屈こねるなら、僕だって屁理屈言うけど? スッと指差す、さっきのるうと同じように。 「……12時を越えています」 「うん。そしたらさ。 今るうはプライベートでしょ? 慈雨"様"ってのは違うでしょ」 嫌いなんだよね。 るうに慈雨"様"って言われるの。 「おやすみなさい、慈雨にぃ」 「おやすみ、るう」
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