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クリスマスイブの今日は晴天で、雪なんか降りそうにない。
「翔太、どうしたの? 出かけるの?」
母さんが出掛けようとする俺を呼び止める。
玄関で靴を履きながら振り返った。
「うん、ちょっと友達の家に行って来る」
「クリスマス会にでも呼ばれてるの?」
「違うよ。ちょっとだけ外で会うんだよ」
「車に気をつけるのよ? 飛び出したりしちゃ駄目だからね」
「……大丈夫」
そう言って笑って玄関の扉を開く。
大丈夫だよ母さん、もう事故で死んだりしないから。
俺の小さな身体を冬の寒い空気が包み込んだ。
今日は行かなきゃいけない所があるんだ。
小学1年の俺は余り金を持っていない。仕方ないので少し離れた目的地に歩いていく。
8年前は雪が降っていた。7歳でしかない俺にはその記憶がある。
ホワイトクリスマス、最高のシチュエーションだった。
プロポーズするのには。
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