魔法少女、出勤しました

2/23
前へ
/134ページ
次へ
“リンクドール”  とある優秀な三人の科学者達が、地球に訪れる危機を阻止する為に作った全十二体の魔力生命体の総称である。各々が人間の精神に潜り込める直接感応を保有しており、それによって対象の素質ある人間―マジカルーキー―と合体、対象者をマジカルーラー―所謂、魔法使い―にしてしまうのだ。  リンクドールにも種類があり、 “初期シリーズ” “獣シリーズ” “UMAシリーズ” と、三種のシリーズで細分化されている。  初期シリーズは所謂試作機で、数ある中でも完成度の高い五体だけが選ばれて残った。 “ペンギン(コガタペンギン)”のダニエル。 “ゴリラ(マウンテンゴリラ)”のヨシフ。 “烏(コクマルガラス)”のスカーレット。 “サソリ(デスストーカー)”のモハメッド。 “ワニ(アメリカンアリゲーター)”のアンナ。 以上の五体。何れも試作機の為に個性的で、団結力に欠ける所はあるものの、地球と人類の平和を守る心は一つであり、何だかんだで仲は良いらしい。  続いて、獣シリーズ。初期シリーズのデータを元に、改良を施したドール達……所謂、第二世代だ。系統をある程度統一し、初期シリーズで不安定だった団結力を重視したドール達である。 “狐(フェネック)”のテン=パーランス。 “猫(ソマリ)”のラン=ミーシュン。 “狼(ニホンオオカミ)”のゼン=カミヤマ。 “獅(ホワイトライオン)”のジン=クラーク。 以上の四体。科学者の思惑通り、高い能力と強い団結力が確認されたが、その団結は表面上だけであり、各々腹に一物を据える油断ならない奴等だ。  そして最後が、UMAシリーズ。UMAとは“Unidentified Mysterious Animal(アンアイデンティファイド ミステリアス アニマル)”の略で、未確認動物を指す造語だ。それらが一時期世間を賑わせたのは有名な話。そんな折り、科学者の一人が人類に憎しみを抱き、人類滅亡の為秘密裏に作り出したのがこのUMAシリーズだ。 “ツチノコ” “チュパカブラ” “モケーレ・ムベンベ” 以上、名も無き三体。彼等は、そんな自分達を作った科学者の憎しみに感応、その怒りは自然と人類全体に向いた。三体とも仲は悪いが、利害関係の一致で団結している。人類の平和を守ろうとすれば、間違いなく彼等はこちらへと牙を向くだろう……。
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加