魔法少女、出勤しました

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「全裸で歩くこの爽快感、テラビッチ☆ 自宅じゃなきゃ出来ないねー、マジで」  着替えを取ったら居間辺りで寝よう、なんて考えていた私の耳に、聞こえるはずはないチャイムの音が入る。 「……空耳かな?」  時間的には有り得ない。一般家庭に、こんな朝早くにチャイムを鳴らしての来訪など……非常識も良い所だ。事実、続くチャイムは聴こえてこない。 「……うぅむ、一応確認しに行こ……」  しかし、そんな非常識な輩に若干の心当たりが有るだけに、私は静かに玄関へ向かった。 『……流石にこの格好は不味かったかな……よっちゃんだったら襲い掛かってくるかも……』  よっちゃん―柏ノ木 葉(かしのぎ よう)―という男は、私が浮かべた心当たりの最有力候補であり、私の、まぁその……ちょっと一回だけ、気の迷いで身体を許してしまった奴だ。おっぱいが大きいなら誰でも良い、股間と脳が直接感応(ダイレクト・リンク)してる分かりやすい奴で、今は他の女にご執心だったはずだが……。 『振られる度に私の所来るからなぁ、時間気にせず……しかも、第一声が大抵“とりあえず揉ませて”とかだし……ぐぐぐ、奴との因縁を消せたらどんなに良いか……!』  よっちゃんだったらボコボコにして追い返そうと心に決めて、私は目の前にある玄関扉の覗き穴を……。 「……ん!?」  覗こうと思った私だが、妙な気配にその場から飛び退いた。勢いに舞い飛ぶタオル、次の瞬間! 「噛砕竜巻拳(デスローリング)ッ……!」 「ぎょえええ!!?」  目の前で玄関が“ねじ切れた”のだ……! 何とか廊下に着地した私は、丸くくり貫かれた玄関の先にいる存在に戦慄した……! 「魔法、少女……!?」
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