魔法少女、出勤しました

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「どうしてくれんのよコレェ!? 幾ら友達でも許さないかんね!? 便所、じゃない、弁償しろぉお!!!」  怒りのままに、息の無い舞ちゃんを揺さぶる。しかし、舞ちゃんは起きない。身体を使って稼がせて、家を弁償させる事も叶わない。舞ちゃんは死んだのだ……。卑怯だぞ舞ちゃん! 「……その、生臭さ……懐かしい、人気の無い魚チューハイの臭い……そこにいるのはダニエル、ダニーなのね……!?」 「ア゛ァ!? 違いますけど!? てか、臭い取れてない系ですかぁ!?」  いきなり掛かった声に、咄嗟に身体の臭いを確かめる。残念ながら、私の鼻は鉄分の臭いしか捉えられなかった。 「ごめんなさい、もう目も、耳も、上手く機能してないの……良いから聴いて頂戴な……そこにいるのが、ダニーで無くても構わないから」  凶悪な見た目から、妙に色っぽい声を出すワニにギャップ萌えを感じつつも、ハッと我に帰った私は直ちに突っ込む。 「誰でも良いのかよ!? 案外適当だな、オイ!」 「……ダニーが居ない、この一夜に……とんでもない戦いが起こったの……」  アンナ曰く、ダニエル不在の活動拠点に、獣シリーズが攻め込んできたらしい。狐のテンが、やられた恨みを晴らすために。しかし、初期シリーズには序列一位のスカーレットがいた。戦いは初期シリーズ優勢で進んでいたが、突如現れた序列四位のチュパカブラによって戦況が激変。飛行能力のある彼に、同じく飛行能力を持つ彼女が応戦せざるを得なくなった。 「……スカーレットは、強かったわ……私達を守りながら、あのチュパカブラを相手取ってたのですもの……けど……突然、川の中から現れたあの悪魔が、序列二位のモケーレ・ムベンベが……!」  仲間であるはずのチュパカブラごとスカーレットを消滅させ、姿を消したのだという。そうして、形勢は逆転。序列六位のモハメッドと七位の自分が、五位のテン、三位のゼン、十一位のジンを相手取らねばならなくなる。 「……不利を察したモハメッドは、私を逃す為に一人で……ゴホッ、ゴホーッ!」  激しく咳き込むアンナの身体が、徐々に輪郭を歪ませた。
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