魔法少女、出勤しました

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「実は、雪には内緒にしてたけど……お母さんは魔女だったのでーすっ!」 「……え、いや……マジで?」  いや、前々からオカシイとは思ってたんだよね……通販で訳わかんない色したキノコとか、用途不明の器具とか買いまくってたし……歳と外見、全然合ってないし……たまに箒持って、ちょっと買い物行ってくるわ、とか言うし……お父さんの事“ダーリン”って呼ぶし……お母さん方のお婆ちゃん100km/hで走るし……あああ、思い当たる要素多すぎる!? 雪ちゃん、生まれながらの魔法少女だった系!? 「うっそぴょーん!」 「嘘かよ!? あんたこの時点で魔女確定だよ! 魔性の女、略して魔女! 本気で騙されたわ! てか、それなら何でウチのお婆ちゃん100km/hで走るのよ!?」  私は、可愛らしくポーズを取る魔女のお母さんに怒りをぶちまけた。するとお母さんは、舌を出してウインクというふざけた表情から、何時ものニコニコフェイスに戻す。 「さ、そんな事は良いから行きましょー。タイムセールは待ってくれないのよー?」  問題をさらっと流して、踊るように私を追い越したお母さん。この魔女め! ファッキンビッチ! 『あ、ユッキー! スノーマン、スノーマン!』 「そうだった! お母さん、私が先に出るから!?」 「えー?」  ダニエルの言葉に、ハッと我に帰った私の言葉は一歩遅い。うふうふ笑うお母さんは、既に扉を開けながら振り返る。案の定と言うべきか、開け放たれたドアの先。お母さん越しに、先程見えた邪悪な顔面がそこにあった。 「HUMGUAAAA!!!」 「『やっぱりいたぁあああ!!?』」  グパァッ、と雪だるまにあるまじき口を開き叫ぶデビル・スノーマン。開かれた口から覗く、おぞましい色をした粘液と粘膜の壁、無数の牙や触手が軒を連ねる異様な光景……瘴気漂う魔界の入り口が、今正に開かれたのだ。 「あらー?」  暢気に正面を向くお母さんを、魔界の入り口が玄関ごと飲み込む! 「お母さーん!?」  私は咄嗟に双剣を構え、飲み込まれたお母さんを救う為、デビル・スノーマン目掛けて跳躍! 「お母さんを返せー!!!」
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