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「お前が死ねぇええ!!!」
飛び退きながら、双剣の一つをブーメランの様に投げ付ける。振り向きざまのスノーマンの目を、回転飛翔する刃が切り裂いた。
「GYAAAAAAAAAA!?」
「今だ!」
その隙を逃さず、手近な雪山を蹴りスノーマンへと肉薄。戻ってきた剣を掴み、合わせた双剣を前に突き出して回転突撃!
「“滑走穿孔剣(トボガン・ドリル)”!」
氷上を滑走するペンギンの如く、私の身体は空中を滑り、一つのドリルとなりてスノーマンを貫いた。雪原に着地した私の後ろで、激しい爆発が巻き起こる。
「大きいだけじゃ、女の子は喜ばないんだぞ☆」
ちょっと一息、決めポーズ。真面目は私のキャラじゃない、キメッ☆
『見てるかスノー・クイーン、貴様自慢の兵士も一捻りだ! 待っていろ、今回こそ必ず倒してやる!』
いつの間にか熱血キャラになっているダニエル。うん、ヤバい、超カッコイイ。本格的に下腹部がキュンキュンし始めた。ダニエルって、人間の姿になれたりしないのかな……なれるんだったら今夜辺り、ドキドキ。
『居城は最早目と鼻の先……飛ばしていこう、ユッキー!』
熱くなるダニエルに、別な意味で熱くなる私は、悶々としながら局地的な吹雪を目指して雪原を蹴った……。
「近付くにつれ、吹雪が酷くなる……」
『スノー・クイーンは氷河期の体現……世界を破滅に導く、恐ろしい魔獣の一体さ……この吹雪も、奴の吐く呼気に過ぎない』
視界が利かぬ世界の中で、一歩、また一歩進む度に高まる邪悪な気配。気を抜けば、恐怖に飲み込まれて気絶してしまいそうだ……。
「ねぇねぇ、ダニエルって童貞なの?」
『あぁ、僕の剛槍はまだ何も貫いては……って!? どさくさに紛れて何て事を聴くのさ!? それ今全然関係無いでしょ!?』
「いや、緊張を解そうと」
『解せてない! 寧ろ高ぶった精神が乱れて逆効果だよ!? 真面目にやって、真面目に!』
「はいはい」
プリプリ怒るダニエルは童貞だった。それに剛槍らしい。ふーん、童貞な上に剛槍ねぇ……ふーん、ふーん!
『な、何をニヤニヤしてるんだよユッキー!?』
「んー、ちょっと臨時ボーナスの使い道をねぇ……所で、ダニエルって人間に変身出来たりする?」
『ま、まぁ、出来るけど……って、取らぬ狸の皮算用はダメ! 油断禁物だよ!』
ふっふっふっ、言質は取ったぞ……ダニエル!
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