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「『やった!』」
「何をやったって?」
首を落とした勝利の余韻も束の間、私達の身体に衝撃が走る。ベアパンチだ!
「『ガッ、ハッ!?』」
回転力が落ちた所に入れられた痛烈な打撃に、全身から力が抜けた。次の瞬間には空を切り裂き、私の身体は漏れ無く氷の斜塔に叩き付けられる。完璧なバランスを崩された斜塔は崩落し、容赦無く私を押し潰していった。
「『ゲブフッ!?』」
一体何がどうなっているのか……。さっぱり分からぬまま、スノー・クイーンの言葉を聴く。
「後一歩、後一歩だったなぁ……!? ふはははははっ! 貴様が倒したのは、私が魔法で作り出した「ウチの娘に何してるのー!!!」ぷぎゃあ!!?」
……今、聞き慣れた声が挟まった。続いて聞こえた間抜けな悲鳴とグロテスクな炸裂音。もう、嫌な未来(ビジョン)しか見えない。
「よい、しょっ、と……雪、怪我はない?」
「お母さん……」
案の定、私の視界を覆う瓦礫を避けて顔を覗かせたのは、我が家のリアル魔女……七原 冬美だった。
「まぁ……こんなにボロボロになって……とっても可愛いけど可哀想に……今出してあげるわねー、ふぁいやー☆」
振るわれる星形ステッキ……迸るのは、神の炎(レーヴァテイン)……私を苦しめた白の世界は、一瞬にして無に還る……。
「立てるー?」
「うん、大丈夫……」
差し伸べられた手を拒み、自力で立ち上がり世界を見回す。うん、とても言葉では現せないグロテスクな物体を除けば何時もの世界だ。ちょっと色々壊れたり、人の死体もあるけれど……。
「さ、帰っておやつにしましょ!」
「……結局、スーパーやってたんだね」
「うん、お客さん全然居なかったけど」
ほら、と膨れた二つの買い物袋を見せ付けるお母さん。最早ツッコむ気力すら無いよ……。
「今日のおやつはパンケーキよ!」
「『や、やったー』」
一体化するダニエル共々わざとらしい万歳をして、買い物袋の片方を預かる。こうして、未曾有の大災害を解決した我ら魔女親子は、手を繋いで帰路へ着いた……めでたくないけど。
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