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魔法少女、集いました
・第二話、その後
ユッキー達が去った後の街角……てんやわんやの大騒ぎの中で一際静かな、そして一際浮いた格好のボブカット眼鏡少女が一人、ビルの屋上で町を見下ろしていた。
「ふっ……またしても我の……深淵の闇姫“エーリザベト=ル=デールヒトーラ”の出る幕では無かったようだな……」
誰に語りかけているのか、黒髪を風に靡かせる眼鏡少女はしたり顔で呟き続ける。
「……日増しに疼きを強める我が力は、怨敵である絶対神すら恐れさせたか……」
「……ふむ、抗い難き運命の悪戯、か……くくっ、面白い、正しくその通りだ……絶対神の司る運命は、我という強大なる力の介入を拒んでおるのだ……しかし、その抵抗も何時まで続くか……ふふっ、見物だな」
「そう……あの美しい娘、アレこそが鍵……漸く見つけた、我が同族……あの者と契りを結ぶことで、我は更に強大に……運命を塗り替える力を手にするだろう……ふふっ」
「奴の真名は何であろうか、暴かねば契りを交わせぬ……むむ、雪国が生んだ神秘の妖精、だと? ……あー、いや、それは何かー、ちょっと違うよ……あの子はー……そう! ……魔界の赤き雪原より生まれ出た狂暴な魔獣と、魔導を極めた美しき淫魔のハーフ………………誰だっ!?」
そんな眼鏡少女の後ろで、ガチャリと音を立てて開かれる扉。振り返る彼女の目に映ったのは、作業着姿の老人だ。
「おーい、嬢ちゃん。どうやって入ったか知らねっけど、ここは立ち入り禁止だどー?」
「……あっ、すみません!」
こうして眼鏡少女は、屋上掃除を手伝う事で老人に見逃して貰い、真っ赤な顔でそそくさとビルを後にした……。
「……この辺に来るの、しばらく止めよ……」
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