魔法少女、集いました

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 鳥の囀りと、カーテンの隙間から射し込む陽光の眩しさに、私は泥のような眠りから目を覚ました。 「ん………………あぁ、いつの間にか、寝ちゃってたんだ……あふぅ」  のそりと身を起こし、欠伸を一つ。薄手の毛布がするりと落ちて、私の柔肌と、隣で死んだように眠るコガタペンギンのダニエルを現世へと晒す。 「……まぁ、そりゃそうだよね……」  心なしか萎びたダニエルを見下ろし、ひとりごちる。昼夜共に繰り広げられた激戦……疲弊するのも当然だ、特にダニエルは負担が大きかっただろう。現に私も、いつ意識が飛んだか分からない位だ。しかし、その疲労は私に心地好い睡眠をもたらし、何とも言えぬ充足感を覚えさせた。肌の調子も、何時に比べ良好である。 「……しかし、色々あったなぁ……」  生きて朝を迎え、改めて昨日の出来事に驚かされる。世界を覆うような異変、人を食らう本物のモンスター、そして……。 「何より、人間に化けたダニエルがイケメンだったのが、一番の衝撃だなぁ……」  しかも青い目が素敵な異国のお兄さん、うん、意味が分からない。 「金払いは良いし、イケメンだし、性格も良い方だし、色々と相性もバッチリだし……うっわなにこれ、マジ夢みたい……もう人間の彼氏とかいらないじゃんか……!」  思わず嬉しさが滲み出る顔を両手で覆い、再びベッドに身を預けて何度も左右に横転。後から後から溢れる感情の奔流が、私を飲み込んでいく。 「うっひゃー! 私リア充勝ち組うっひゃー! 既成事実で将来安泰うっひゃっひゃー! 魔法少女サイコーだぜぇ!!!」  おんやぁ、何処かから声が聞こえるぞ? 変態ぃ? クソビッチィ? はっ、そんなの負け組の妬みでしょう? 何しようが勝てば良いのよ、勝てば! 「ぎゃははは! 雪ちゃんったらテラビッチ! でも大丈夫ぅ! これからは主人専用の淑女ビッチになるからぁ! うひゃひゃひゃ、笑い止まんなーいっ!」 「……うっ、ううん……」  おっと、騒ぎすぎた。未来の旦那様……は、まだ早いか。私のサイコーのパートナー、ダニエル様が目覚めかけている。よしよし、ここは目覚めのピロートークでもかまして、好感度でも上げとくか。 「ふふふっ、ダニエルは私の物だぞ……っと」  その頬に軽いキスをしてから身を起こし、私はカーテンを開いた……。
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