魔法少女、集いました

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 良し、決まった。音がなりそうな程に華麗なポージング。私が指差すその先に、息を荒らげたもう一人の覗き魔……ビデオカメラを構え、鼻血で口の回りを真っ赤に染めた眼鏡少女がいた。 「……ハァハァ……エロティック&バイオレンス……た、堪らんっ……おうふ、また鼻血が……あ、すみません、そのポーズだと下が隠れちゃうので、変えて貰って良いですか? で、出来るなら、その……ハァハァ……ア、アップとかも撮りたいんですけど!?」 「うわぁ……変態だ、変態だ、変態だ……」  雪ちゃんはドン引きした。思わずセルフエコーかけちゃったよ……。しかもアレ、無茶苦茶高いビデオカメラだ。手ぶれ補正と高画質が売りの、絶賛CM中の有名メーカー製。確か、夜間にも強いとか……ん、夜間にも強い? 「よし、お前も死刑だ」 「はひぃ!? 乱暴してください!」  何だか色々オカシイ眼鏡少女の胸ぐらを掴み、強引に部屋へと引きずり込み、床へと叩き付ける。 「痛ッ……! あ、あたし、何されるんですか!? もしかして、自分のカメラを奪われて、複数の醜い男に乱暴された上でそれを撮影されて、それをネタに何度もお金と身体を要求され、あまつさえ望まぬ子を妊娠させられる展開ですか!!?」 「……ごめん、ちょっと黙って」 「アグゥッ!?」  あんまりにもあんまりな眼鏡少女の発言に、私は思わず足を振り抜いていた。眼鏡を飛ばして床に倒れた少女は、チラッと見えた、と言い残し気絶。深いため息を吐き、部屋を見回す。見るに絶えない酷い光景だ。朝一に感じていた充足感など、とっくに何処かに吹き飛んでいた。 「あー……頭痛くなってきた……」  私が思わず頭を抱えたと同時に、ダニエルがのそりと起き上がった。 「うーん……あっ……ゆ、雪……その、お、おはよう……昨日は、えーと、あー……って、どうなってるのコレ?」  昨日の今日で複雑な心境なのか、距離感を計りかねていた様子のダニエルも、その光景には流石に間抜けな声を上げる。 「……こっちが聞きたい……」  そんな彼に、私は盛大なため息を持って答えた……。
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