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 璃子さまは皇位継承権一位で、現女皇・羅子(らこ)さまの長女だった。次女の瑠子さまやサイコ、それにタツオより3歳年上になる。 「そうなんだ……」  肌が抜けるように白く、微笑(ほほえ)んだだけで壊れてしまいそうな優しい人だった。皇室の健康情報は外部にはほとんど漏れてこない。タツオは初耳だった。 「ご病気がちで、学校も休まれているから、ご学業のほうも思わしくないらしくて。それに気鬱(きうつ)の病に罹(かか)っておられるようで、侍従の者たちもお寄せつけにならない。ごく少数のお気にいりだけでお世話をしているの」  日乃元皇国、次期女皇としては忌々(ゆゆ)しき問題だった。サイコはいった。 「それでね、瑠子さまからのご伝言がある」
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