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 次女の瑠子は皇位継承権2位だが、サイコと親友になるくらいだから、明るく活発で皇室の一員とは思えないくらいのお転婆(てんば)だった。東園寺の庭で国宝級の樹齢700年を超える松の木に登る競争をタツオとして、見事勝ったこともある。  タツオは子猿のように荒れた枝を登っていく瑠子さまを見あげて感心したものだ。男の子に生まれていれば女皇にはなれないが、きっと素晴らしい進駐官になったことだろう。もうひとつの感心は将来の女皇でさえ、サイコと同じような白い綿のパンツをはいていることについてだった。 「瑠子さまとは、もうずいぶんお会いしていないなあ。お元気かな」 「うん、瑠子さまはお元気だし、運動も勉強も抜群だよ。でも、それがよくないんだ」  サイコの顔が暗くなった。
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