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「うえー、なんだ、この中身?」
にぎり飯のあいだから、白桃のシロップ漬(づ)けがのぞいている。
「すみません、おいしくありませんでしたか。うちでは定番の具なんです」
黒縁(くろぶち)の眼鏡(めがね)をかけた女生徒が顔を赤くして叫んでいた。幸野丸美(こうのまるみ)は小柄(こがら)で、天然パーマで、そばかすが線香花火のように両頬(りょうほほ)に散っている。もうひとつのおにぎりを手渡していった。
「それはわたしがもらいますから、こっちをたべてみてください」
「おお、ありがと。マルミちゃんは優しいな」
ナンパなクニがおにぎりにかぶりついた。
「うわー、なんだ、これ」
再び割ったおにぎりのなかには、よくわからないオレンジ色の具が見える。マルミがあわてていった。
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