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「ふーん、おかしな話ね。学校内にも、学外にも襲撃犯はいなかったなんて」
東園寺彩子(とうえんじさいこ)がおにぎりをかじりながら、そういった。
「ぼくらにもまったく謎だ。ただあちこちで命を狙われるなんて馬鹿(ばか)みたいだ」
タツオはそう返事をするしかなかった。毎回なんとか危機を切り抜けているが、理由もわからず襲撃を受ける日々が続いている。その結果、タツオの班の4人の結束力は、どこにも負けないほど堅固なものになっていた。
その日は初夏の風も爽(さわ)やかな非番の日曜日だった。養成高校から外出するのも自由なのだが、最寄りの都市までバスで90分以上かかる。生徒のほとんどは、ネットで買い物をすませ、休日は学内で過ごしていた。タツオの1班とサイコの1組2班は、学校敷地内の芝の広場で昼食を広げている。以前から約束していたちょっとしたピクニックだ。
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