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教室を出て、廊下を早歩きで通り、玄関に着いて急にさっきの2人の絵が脳裏に浮かぶ。
なんで?
なんで瑞希がいるのに、女の子と2人っきりで放課後話してるの?
瑞希と一緒に帰れば良かったのに。
もし瑞希が、今の光景を見ていたらどうするの?
瑞希、傷つくよ。悲しむよ。
そんなこと富樫くんは考えないの?
外に出て、すたすたと帰路を歩く。
早歩きになりながら、自分のモヤモヤを懸命に振り払うように風を切って。
瑞希、本当に富樫くんと付き合ってて大丈夫なの?
色々な女の子と一緒に居るんじゃないの?
大丈夫なの?大丈夫なの?
何回も同じ言葉が頭を過ぎる。
何度も繰り返して、何度も同じ光景が頭に浮かぶ。
そのうち、うっすら涙が出てきて。
ぼろぼろ、ぼろぼろ。いらないくらいに流れてきて、この感情は瑞希を心配してることから来ているものではないということを思い知った。
唇を噛み締めて、涙をひたすら拭う。
富樫くんは、私のことを気になっていたわけじゃない。
ただ、いろんな女の子に声をかけるのが好きなだけだ。
当たり前だ。私が相手にされるわけないもの・・・。
なのに、私・・・バカみたいに富樫くんのこと考えてて・・・。
バカみたいって分かっているのに、こんなに涙流して・・・。
本当・・・本当になんなの・・・っ!!
泣きながら帰って、富樫くんのことはもう金輪際考えないでおこう。
自分のことよりも、瑞希を気に掛けないと。
しょっちゅう違う女の子と話していたら、瑞希だっていい気はしないはずだ。
本当に
本当に
なんで、あんな人と付き合ってるの?瑞希・・・。
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