770人が本棚に入れています
本棚に追加
解放の時は近い。
それを察した幻幽斎は、最後の抵抗を試みる。しかし、日に日に増していく妖気を抑えきれなくなる。
「あとは、我が子孫に託すしかあるまい」
この数ヶ月、幻幽斎は折原一族の使命を託す者の力を見極めていた。
最初は、ただ頼りない存在であった。
三百年の時は、一族の伝承にも影響する程の長さを持つ。
故に、その使命も妖を滅する力も技も廃れていた。
それでも、子孫は使命に目覚め妖界へとやって来た。
少年は、己の持てる力の全てを用い、大妖から差し向けられた妖との戦いをくぐり抜け倒していく。
戦いの中、身に付けて行く強さと技。
自分とは違う、異質の力。
だがそれこそが、大妖を討ち倒す力となろう。
幻幽斎は、結界の力が極限まで弱くなり、大妖の妖気を完全に抑えきれなくなった時、そう実感した。
まだ、心許ない部分はある。
大妖は、幻幽斎が封じた時よりも、格段に強くなっているのも事実。
最初のコメントを投稿しよう!