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蛇口に手を差し伸べる。
ガチャ
書道室のドアが開く。
先生だろうか。何だろう。いつもは滅多に来ないのに。
「先生。何ですかー。」
後ろ向きで呼びかけても何の返事もない。
もう一度呼び、振り返る。
そこには一人の先輩がいた。
オレンジ色の夕陽に照らされていてとても輝かしく見える。
いや、この人は照らされなくても他の人にとっては輝かしく見えるのだろう。
この人はきっと……有名な人。
流行に乗り遅れている私でも顔を知っているから。
名前は存じ上げないけれど。
彼は薄い唇を開く。
「花咲さん、俺とつきあって下さい。」
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