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「このワイン美味しいね……酔っ払ったのかな。言わなくても良いことも、どんどん口に出してしまう――
葉月は心療内科に押し込まれたの。訳の分からない言葉を毎日呟いていたそうよ。両親が困り果てたみたい」
「……そうだったのか」
その頃の俺は、井上から逃げられた安堵感と、一戸建てを購入した嬉しさとで他の生徒の事など、これっぽっちも考えていなかった。
改めて申し訳なく、ワインを一気に飲み干した。
「あ、ごめんね? もう気にしなくても平気よ。当時、田中君が献身的に葉月を面倒見ていたの。彼、好きだったんだね。
離婚をして実家に戻ってきたんだけど、2人が仲良く歩いている所に出会したんだ。結婚したんだって、本当に良かった」
「田中?」
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