派遣会社 エグザム

　背後には青い空を眺められる広い窓。この空間の中で、一番大きなシルバーのデスク。深く腰が掛けられる黒革の椅子。

たかが中小企業の営業部長だが、この会社が気に入っていた。教師と比べれは、明らかにストレスが半減した。

生徒だけじゃなく、後ろにいる両親まで気を使わなくてはならない。あんな仕事、もうこりごりだ。

引き出しから契約関係の書類を出し、しみじみと考える。

――流石に日曜に出勤する者は、いないか……。営業は一日多く出勤しただけで、3倍の実力の差が出るんだけどな。

まぁ、努力しない奴が多いお蔭か。中途採用でも短期間で昇格出来たんだからな。

しかし綾の奴、今まで見た事が無い行動だった。トマトも本当は食べられる。昔は喜んで、サンドイッチに挟んでいたものだ。