22人が本棚に入れています
本棚に追加
飯田橋駅前。目の前に見える上り坂が神楽坂だ。テレビで良く取り上げられ、東の京都として有名だ。
狭い路地へ入り込むと、一見さんお断りの、由緒正しい料亭が立ち並ぶ。運が良いと舞妓さんと出会えたりもするので、京都と錯覚してしまいそうだ。
そんな町並みは、間違いなくどの店で食事しても、満足いくものだった。
「お待たせ! 山田部長ー!」
朝と変わらず、むっちりとしたスーツ姿だった。アップした長い黒髪は、大人の色気がたっぷりだ。
「店はどこだ? 連れて行ってくれよ」
「坂の途中で、左に曲がると美味しいイタリアンのお店があるの。海老が大きくてプリッとしていて最高よ。部長、お財布を用意して置いてくださいね!」
ペロッと出された舌は、過去の記憶とダブり、思い出す。
最初のコメントを投稿しよう!