22人が本棚に入れています
本棚に追加
「ここよ。部長」
海老が一匹大きく描かれた門構え。イタリアンでも海老を一押しにしているお店だった。
入り口の扉を開けると、年配夫婦が丁寧にお辞儀をしてくれた。のほほんとした空気に、落ち着いた。
「いらっしゃいませ。こちらへどうぞー」
良い歳の取り方をしたんだろう。顔に切り刻まれている皺がとても可愛い奥さんだ。
「適当に頼んでくれ、りりか」
「はぁーい。じゃあ、赤ワインのボトルでカルミオーネと、和牛レバーのカルパッチョ
えーっと……甘海老のアボガドタルタル、シーフードのリゾット、ギアナ海老のボイルでお願いします」
「かしこまりました」
注文するその笑顔は、とても可愛く眩しかった。若い頃に見た、高校生の時の彼女と重なった。
最初のコメントを投稿しよう!