派遣会社 エグザム

8/20
前へ
/20ページ
次へ
「お待たせしました。赤ワインのカルミオーネでございます」 二つのワイングラスに、ガーネットのような赤い液体が注がれる。そっとテーブルにボトルが置かれ、店員は軽く会釈をし下がった。 「乾杯部長……んっ、美味しい!」 「家でじゃ、こんな高級ワインは飲まないからなぁ、やっぱり美味い」 ワインを店の明かりにそっと照らすと、赤が引き立ちルビーのように煌いた。 「りん、うるさいの? お酒とか?」 「いや全然。前の奴が、酒を大量に飲んでたりしたもんだから、ちょっとな」 「ふぅーん、前の奥さんか……」 りりかは一気にワインを飲み干した。グラスを置き、上目使いで見つめる。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加