怖気森 不思議(オゾケノモリ フシギ)

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 「…………っ!!」  白河の細い腕が咎菜の襟を掴んだ。  「死に対する恐怖心が無いか有るかの差よ」   コンビハク  『金尾薄』、と白河玄翁が言った。彼女の必殺技が放たれた直後、咎菜の意識が乱暴に途切れる。何が起こったのかも分からないまま。  目を覚ますと、そこはどこかのホテルの中だった。庶民の咎菜には分からないが、この豪華さから恐らく『スイートルーム』という部屋だろう。  「…………ここは?」  「感謝してよね。最高級スイートルーム風に改装した私の自宅に招いてあげたんだから」  声のした方を見て、思わず咎菜は吹き出した。  白河玄翁がいる。それは良い。だが、白河は浴衣姿というかなり露出度の高い格好をしていた。しかも、はだけて肩がモロに見えてしまう。  女の子に免疫の無い咎菜にとっては目に毒だ。  「なっ……何をしているんですか……?」  「何って、何もしてないよ。ただ自分の家でくつろいでいるだけ。そっちこそどうしたの?」  「いえ、別に……」  さっきから精神に住み着く灰道が静かだ。それがかえって怖い。  「僕をどうするつもりですか?」  咎菜が言う。  「どうする、ねぇ……別に殺しても良いんだけど……」
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