怖気森 不思議(オゾケノモリ フシギ)

12/16
前へ
/71ページ
次へ
 咎菜が虚空からデスサイスを取り出す。  「そう身構えないでよ。別に殺すとは言ってないでしょ?」  「…………」  「君達が何をしに来たかは大体分かってる。不思議のことでしょ?」  「やっぱり、あんたの差し金ですか……。だったら……分かるでしょう?」  咎菜の瞳から敵意は消えない。むしろ、禍々しい光が増すばかりだ。それを見た白河は自分に非があるとは思っておらず、挑発するように邪悪に笑う。  対して、それを見た咎菜は引き裂けるような笑みを浮かべた。それは、恐らく怒りとも憎しみとも違う感情か。  「ぷはは……やっぱり、殺しておくべきでしたね、あんたは」  ようやく目の前の女狐を敵として判断することが出来る。  「まあまあ。まずは一緒にランチでもしましょうね。折角、私が料理を作ったんだから」  咎菜の顔が僅かに歪んだ。  この状況で一緒にランチ? ふざけてるのだろうか、この人は。  「……毒でも盛ってんじゃないでしょうね……?」  敵の陣地に踏み込んでいる身としては当然の反応だろう。  しかし、そんな当たり前の反応が通じる相手ではないことは、咎菜自身が良く分かっていることだった。  「ビーフシチューを作ってみたんだ♪」
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加