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底の浅い皿にビーフシチューをよそる白河。美味しそうな匂いが部屋全体に充満する。
「まずは食べてみなさいな。話はそれからだよ」
「…………」
(……やっぱり、やりづらいな……)
敵だと分かっていても、やはりどこか攻撃し難い雰囲気があった。
これも白河の作戦なのかもしれないし、もしこのビーフシチューに口を付けたら毒を盛られるかもしれない。
警戒して一向に料理に手を出さない咎菜を見た白河は溜め息を吐いて言った。
「……はぁ、良いわよ。まぁ、それが当然だしね」
それからガツガツと料理をたいらげ、口元を腕で拭ってから咎菜の方を向いた。
「じゃあ――お待たせ。再開しようか、殺し合いを」
「結局……僕をこの部屋へ招いたのは何でですか?」
「だから、言ったでしょ。一緒にランチをしようって。なのに、少しも料理を食べてくれないから、お姉さん、ちょっと悲しかったな」
言いつつも、少しも悲しそうな顔を見せない白河を見て、やっぱり信用ならないな、と思う咎菜だった。
白河の自宅――最初に訪れた廃虚だった。あのスイートルーム風の部屋は2階。そして、戦いの場として連れてこられたのが3階だ。
「じゃあ――」
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