怖気森 不思議(オゾケノモリ フシギ)

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 条件はただ一つ。  体内に人間の血が流れていること。それは純血の妖怪でも人間の血を少量でも摂取していれば使うことが出来る。  しかし、実際に使える者は少ない。その能力すら、あまり知られていないのだたら。   ハイエンド  『最高最終』。  最高の力を引き出すが、破滅的な代償を必要とする能力の名前だ。  「……ぅ、あ……」  白河玄翁は生きていた。全身がボロボロになりながらも、辛うじて致命傷は避けた。  最高の力を引き出して止めを刺せないのかと言われるかもしれないが、そもそも彼女のような存在に、致命傷を避けさせる行動に出させること自体が異常なのだ。  (……くっ、意識が一瞬飛んだ……! 馬鹿が、そんな無茶な攻撃したらテメエの体が砕けちまうのに……)  「……ハッ、案外呆気なかったのね……最期は自滅なんて」  鼻で笑う白河だったが、出血は決して少なくはなかった。服のあちこちは裂けているし、ダメージが相当溜まっているのか、膝がガタガタと震えてしまっている。  戦いの場であった部屋は、最早、暴走とも言える咎菜の攻撃で半壊し、一面瓦礫で埋まってしまっていた。この下に力尽きた咎菜がいるのだろう。  「……ふん」
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