0人が本棚に入れています
本棚に追加
線の細い体。漆黒の髪は左目を隠していた。整った顔立ちだ。腰には帯刀。服装はどこかの学校の制服のように見える。
『プルガトリオ』のリーダー――
ジ オウセツ
「時 王刹……」
普段はいきなり身内の行動に割り込むような性格ではない。
「何しに来たの? あっ、もしかしてアレ? 私が色々組織のタブーを犯してるとか言って、私を粛正しにでも来た?」
表情は笑っているが、内心生きた心地がしていなかった。仲間の話によると、昔、『プルガトリオ』のタブーを犯した奴がいて、その末路は最悪なものだったという。
「? いや、別にそんなつもりで来たんじゃないよ」
ホッと安堵の息を吐く白河。
(しかし、だったら何をしに――)
「僕が来たのはね――」
と、まるで白河の考えを見透かしたかのように王刹が言った。
「僕が来たのは――君にちょっとしたアドバイスを、と思ってね」
「アドバイス?」
白河が怪訝そうに眉をひそめる。
「彼、逃げたよ」
あまりにあっさりとしたアドバイスに、一瞬白河は、自分が何を言われたのか、理解出来ずにいた。
事態を飲み込んだのは、10秒後だった。
「っ!!」
最初のコメントを投稿しよう!