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急いで後ろを振り返るも、時既に遅し。
そもそもこの瓦礫の山から人を探し出すのは、白河玄翁の嫌いな面倒事だった。
「ま、いっか」
それだけ言って、白河は部屋を後にした。
灰道輪廻は激痛の走る全身を押さえて、木の並ぶ山の中を移動していた。
咎菜は『最高最終』の副作用で気を失っている。
意識は別物だが、体を共有している以上、片方が負ったダメージは、もう片方も負うのが道理だ。
やはり、あれは最終手段だと思った。あんなのを連発してたら、いくら純血の妖怪だろうといつか死ぬ。
「……はぁ、皆に連絡入れなくちゃ……」
電波が届くかは分からないが、やっぱりまずは応援より手当てかな、とか考えながら、携帯(未だにガラケー)を開くと、Eメールの受信アイコンがあった。
差出人は、灰道が良く知る人だった。
『最凶最悪』。
それが彼女の通り名だった。その名の通り、性格も行動も、最悪だった。戦った相手は全員、『人でなし』と叫び、それに対して、彼女は『良く言われる』と返すのが日常だ。
ハイドウ シュラ
灰道 修羅。
灰道輪廻の師匠であり、姉のような存在の死神だ。
「……遅いわねぇ」
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