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死神の鎌――『デスサイス』だ。
ベースが人間の咎菜の精神には、本物の死神が住み着いていて、それが彼に死神の力を与えている。
詳しい経緯は省くとして、現在、咎菜慎理は廃屋の前に立っていた。
目的はここに住み着いている知り合いに説教をするため。
ナデムネ
「……撫胸さんのくれた情報だから、信用してますけど、何でこのタイミングで僕なんですかね?」
うんざりした様子で目の前の廃屋を見上げる。
窓は全壊、所々がひび割れて、『立ち入り禁止』の立て札がある。
だが、残念なのは、こうした立て札はほとんどの人間にはあまり効果が無いことだった。
(まして、あの人なら尚更に……)
「タイミングって……あんたこれから何か予定でもあったの?」
頭の中に少女の声が響く。
ハイドウ リンネ
咎菜の師匠、灰道 輪廻だ。
普段はこうして精神から、咎菜に話しかけるのだが、必要なら、実体が入れ替わる。『二重人体』と、本人は言う。
「いや、分かるでしょう。もうすぐカップ麺が出来上がるんですよ」
「良いじゃん。どうせその方があんた的には嬉しいでしょ」
呆れたように灰道は言う。
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