とある母の日の出来事《エピソード》

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 頭が痛い。  早朝から少し難しい事を考えすぎた。というか、無駄に考え事をしすぎた。普段考え事をするような人格(キャラ)でないため、それへの耐性もあまりないのだ。  溜息。そして、手を顔へ持って行き、こめかみを挟みこむようにして指圧する。考え事もそうだが、やはりまだ昨日の疲労が残ってるのかもしれない。  寝よう。そう思い立つと、私は折り曲げていた膝を立て、立ち上がり、三階に敷かれた寝室へ向かおうと歩を進めようとしたところで、机上に置かれた、あるモノが視界に移りこんだ。 「これって……」  私は、それをおもむろに手に取り、眺める。  それは、アルバムだった。 (黒色のアルバム……なんであの子のがここに?)  うちの家族のアルバムは個々に分けてあり、私が青、夫が赤、息子が黒というカバー色で分けられているため、一目で判別可能だ。  だがしかし、普段見る事の無いため、私が三つのアルバムを所持し、引き出しに閉まっていたため、ここに置かれているということは余りにも不自然なのだ。  少しの間、私はそれを眺めていた。  自分のものではないんだ。さっさと元あった場所へ戻して片付ければいい。そうすればいいのに。 私は――……アルバムを開いていた。  理由など問われたとしても答えられる言葉は控えていない。ただ無意識的に、ただ単に“気になった”。  何に気になったのかさえも答えられない私の現在の脳内は異常をきたしているかも知れない。そう自覚している意識はあっても、中を見る事を私は制止することができなかった。  パラパラと、一枚一枚を捲り、一枚一枚の写真が瞳に映る。
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