上から読んでも、下から読んでも

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「はぁーっ! たまんない!」 「本当! 本当! この為に仕事、頑張ってるって感じー」 金曜日の夜20時を過ぎる。 何十インチあるんだろうというような、大型テレビから流れる音楽番組に耳を傾けながら、生ビールを体に一気に流し込む。 今、私がいるのは。 小洒落たバーでもなく。 最近、社内の女子社員に人気のある立ち飲み屋風の居酒屋でもなく。 見知らぬおじさんもいれば、 走り回る子ども達もいる。 おまけに、それを怒る鬼の形相をしたお母さん達までも。 そう―――― ここは、 老若男女が楽しめる日帰り温泉の飲食コーナーである。
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