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それから間も無くして、夏帆が久保先輩と付き合ったことをクラスの同級生に聞いた。
夏帆にキスした俺を半殺しにするほど怒っていた久保先輩が惚れてるのは一目瞭然だった。
男に近寄らなかった夏帆が唯一俺以外で懐いたのが久保先輩。
そんな二人が付き合うのは予想はついていたから、さほどショックではなかった。
食堂に行くと、嬉しそうに久保先輩に何か話している夏帆の姿がすぐに目に入る。
久保先輩は優しい眼差しで夏帆の頭を撫でていて、もうそこは二人の世界。
はたから見たら本当に迷惑甚だしいバカップルだ。
俺は久保先輩にあの日言われた事が反芻している。
『お前あいつが今までどんな思いでお前のこと見てたか知ってるか?』
夏帆はずっとこんな気持ちだったんだな。
『お前が彼女と一緒にいんの見ても泣くの我慢してずっと耐えてたんだよ。』
今になってやっと夏帆の気持ち、痛いぐらいに分かる。
幸せそうに久保先輩と一緒にいる夏帆を見る度にジリジリと胸を焦がすような感覚。
なんでもっと大切にしてやれなかったんだろう。
なんであんな浅ましい考えで彼女を無下にしていたんだろう。
どんなに後悔したって、
どんなに報いたって、
…全部、後の祭りだけどな。
ーENDー
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