中山くんの失恋

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好きな人の話になった途端、顔を赤らめる篠原さん、本当に好きなんだなと思うと、またズキズキ疼く。 「え?…えと…先輩なんだけど」 「先輩?…誰?部活入ってる?」 「いや、帰宅部。…だから中山くん知らない人かも」 「名前言ってみてよ。多分知ってるかも」 彼女が好意を抱く男がどんな奴が知りたくて仕方がない。 俺も学年ではそこそこ騒がられてる部類に入るし、告白だって何回かされて来た。 多少なりの男としての自信があった、その名前を聞くまでは。 「2年の…久保先輩…って知ってる?」 「えっ?久保先輩って…あの久保優樹先輩?」 ちょっと望み高過ぎないか? 久保先輩って校内でも有名な男前だ。 しかも頭もそこそこ良くて、紳士で優しいとか悪い噂聞かないあの先輩だろ? 俺一回見たけど、オーラ半端なかったぞ? あんな人しか好きになれないの? 「そう。…その、付き合ってるんだ」 え… マジで? 「そか…頑張れよ!じゃ、俺昼練あるから行くな」 「うん、ごめんね、ありがとう。」 俺はもう篠原さんの顔を直視できなかった。 敗北感。 久保先輩の名前を聞いた瞬間に感じた第一感情。 しかも付き合ってるとか…。 俺の小さい自信は無残に砕け散った瞬間だった。
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