3400人が本棚に入れています
本棚に追加
好きな人の話になった途端、顔を赤らめる篠原さん、本当に好きなんだなと思うと、またズキズキ疼く。
「え?…えと…先輩なんだけど」
「先輩?…誰?部活入ってる?」
「いや、帰宅部。…だから中山くん知らない人かも」
「名前言ってみてよ。多分知ってるかも」
彼女が好意を抱く男がどんな奴が知りたくて仕方がない。
俺も学年ではそこそこ騒がられてる部類に入るし、告白だって何回かされて来た。
多少なりの男としての自信があった、その名前を聞くまでは。
「2年の…久保先輩…って知ってる?」
「えっ?久保先輩って…あの久保優樹先輩?」
ちょっと望み高過ぎないか?
久保先輩って校内でも有名な男前だ。
しかも頭もそこそこ良くて、紳士で優しいとか悪い噂聞かないあの先輩だろ?
俺一回見たけど、オーラ半端なかったぞ?
あんな人しか好きになれないの?
「そう。…その、付き合ってるんだ」
え…
マジで?
「そか…頑張れよ!じゃ、俺昼練あるから行くな」
「うん、ごめんね、ありがとう。」
俺はもう篠原さんの顔を直視できなかった。
敗北感。
久保先輩の名前を聞いた瞬間に感じた第一感情。
しかも付き合ってるとか…。
俺の小さい自信は無残に砕け散った瞬間だった。
最初のコメントを投稿しよう!