15/24
8804人が本棚に入れています
本棚に追加
/512ページ
片付けを終えて解散する 柏木先輩は試合の終わる少し前に席を立っていた事を教えてもらった 「エリー、凄かったね!」 「ホントに!」 「やっぱ、憧れの先輩来てたから、力出ちゃった?」 「やるねぇ~」 みんなは口々に話出して 「そ、そんなんじゃ無いしっ」 私も精一杯の反論をする 本当にそんなんじゃないのに 「あれ、エリー、着替えないの?」 「あ、うん、めんどくさくて」 「出たよ!エリー綺麗なんだからちゃんとしなきゃダメだよ!」 「そーそー」 「えー」 着替えないのには理由があって たまに、着替えないで帰る日は 少しだけ寄り道をする 外練用のバスケットボールを一つ拝借して 例のように自転車に跨がってみんなと別れた 行きは地獄の坂二本を登らなきゃいけないけど 帰りはその逆の下りだから 自転車でも問題ない 「マイチャリ、さいこー」 そして、約15分 日課活動を行う朝の公園に自転車ごと乗り入れる とにかく今日はバスケが足りなくて こんな日は滅多に無いんだけど ボールコントロールとハンドリングを簡単に済ませて スリーポイントラインを少しずつ移動しながらシュートを放つ 今日という日は なんという日なんだろう 180度移動する間に打った10本全てがゴールに吸い込まれた 「すご……」 思わず自分を誉める 楽しくて一人で色んなフォーメーションで遊ぶ 途中で笑ってる自分に ちょっと超人的なモノを感じながら 一人スクリーンから振り向いてアップショット をした筈だったのに 「えっ」 突然出てきた何かに遮られて バランスを崩して倒れた私 続けて弾むボールの音が聞こえる そして、 『ガンッ』 まるで既視感 見上げた先は月明かりと、コートを照らすライトに逆光で だけどリングに片手でぶら下がっている 大きな何か……その光景を見て 口をついて出たセリフ 「せ、先輩……?」
/512ページ

最初のコメントを投稿しよう!