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「お腹空いたー!」
「アンジーお弁当?」
「うん、真悠子(マユコ)は?」
いつもクラスで一緒にいるのは大抵
葵と真悠子
三人で行動する事が多い
真悠子も入学してからの友達で
すぐ仲良くなった
視聴覚室から帰ってきたばかりの私達は
机をガタガタと寄せて
早速お弁当を広げる
この時ばかりはみんなスマホを出して
女子トークに華を咲かせる
S高は校則は厳しくはなく
授業中の携帯使用は禁止だけど、昼休み中の使用は認められていた
要はみんな、自主性を尊重されていて
節度を持って常識的な行動をしよう、ということだ
その常識的な行動から外れた例はさっき葵から聞いた、制服でラブホ、みたいな件かな
私もスマホを出そうと鞄の内ポケットに手を入れて、スマホケースを探す
「あ!」
突然の声に二人が直ぐに反応する
「何よ!」
「どした?」
「視聴覚室に忘れて来ちゃった~」
あーん、と言いながら伝えると
「早く取りに行ってきな」
「取られちゃうかもよ!」
葵と真悠子が交互に言う
私はうん、と大きく頷いて席を立った
視聴覚室移動の時は
先生の目も行き届かなくって
こっそりラインをしたりする
そして、そのまま置いてきてしまった事を思い出したんだ
「先に食べてて~」
二人にそう告げて、私は視聴覚室へ再び舞い戻った
視聴覚室は校舎三階の一番奥にある教室で普段は滅多に人通りが無い
もし、七不思議が本当にあったとしたら
絶対『視聴覚室の謎』的な物がありそうな場所だ
私は後ろのドアからソロリと足を忍ばせる
次の時間の用意がされているのか
さっきとはうって変わって暗幕が全て引かれていて真っ暗闇
ぼう、と光るのは非常口を知らせる緑のライトだけ
私の部屋も今晩こそはカーテンを引いて寝よう!と、何故かここで思ってしまった
自分の座っていた席の机の中に
スマホを発見、事なきを得た時
「ンッ」
何やら、女子の声
「ほら、あんま声出すとバレルぞ」
次いで、男子の声
私の心臓が急速にスピードを上げた
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