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そこから 何処をどう走って逃げてきたか その詳細は分からないまま 気付けば、自分の教室に戻って来ていた 「安城(アンジョウ)、なに?息あがってっぞ? 昼練?」 男バスで同じクラスの 嶋口(シマグチ)が私をからかうように教室から出ていく 今から彼はその昼練に行くのだ 「ち、ちが……」 口の中が渇ききっていて 何故か奥歯が噛み合わなくて 上手く話せない 「?なに、どーした」 背が高い嶋口は少しかがみこんでこっちを覗く こんなに近くで男子の顔を 見た事が無くて、小さく悲鳴をあげた 「あ、悪い じゃ、行ってくるわ」 嶋口は両手を上げて降参のポーズを取りながらスィ、と離れた それでも暫く教室の入り口で佇んでいた私は、バクバクと忙しなく動く心臓あたりの制服をギュッと掴んで なんとか深呼吸を繰り返した 「アンジ、何やってんの?」 「スマホあった?」 二人が駆け寄って来て 解けて(ほどけて)緩んだ何かが 私の足から力を奪った 「ちょ!アンジ、どしたの??」 思わずその場にへたりこんだ私を 一体何が起こっているか全く分からない 葵と真悠子が抱えるようにして 教室の中へ運ぶ 「ちょっと、しっかりしてよ!」 「なになに、無かったの?」 「ちゃんと探したの??」 そう言えば、スマホケース、どうしたんだっけ 「あ゛ー」 突然叫んだ私にクラス中の視線が注がれる 「なにー!」 「アンジー、どうしたのさ??」 バッと音がするくらい二人の顔を見上げて 私は自分でも判るくらい眉間に皺を寄せた 「落っことしてきたぁ~」 「はぁ~!!?」 もう、何がなんだか分からなくて メチャクチャのグチャグチャで ハッキリ言って壊滅状態です……
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