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準備と後片付けは、私達一年生の仕事で いくら試合に出るレギュラー組だからとか、そういう事は全く関係が無くて 早く部活に来た一年生から……と、いうか 一年生はホントに早く来なきゃならなくて 入学してから二ヶ月、やっと部活にも慣れてきていた今日この頃 それは突然起こった 準備も整い 間もなくM高が到着するという知らせを受けて 両面使用の体育館に男女別れてのアップを始める 今日、練習試合に来るM高は同じ学区内の私立女子校で 去年まではS高よりも強かったのが事実 今年、先の春期地区大会で めでたくS高が男女揃って地区優勝を果たし、多少の立場が入れ替わった事により、M高がうちに来るようになった まぁ、M高に男子はいないから、男バスに関係ないけど 要は、弱いチームが、強いチームの学校に行く と、いうのが、ほぼ暗黙のルールらしい さっき、嶋口が 来年くらいからは高いとこ、目指せそうじゃね? と、軽く口にしていたけど 今の二年生と一年生は 中学でかなりのレベルでバスケをしていた部員が多く 学校側からも期待がかけられている 「ねぇ、エリー、あれ……」 アップ中、コソリと私に声をかけてきたのは、中学時代にライバル校同士で顔見知りだった佐波(サワ) 返事を返さずに佐波のチラリと目配せをした方を見上げた 「ぎゃ!」 思わず声に出してしまったんだけど…… 慌てて口を塞いでも遅くて 女バスのキャプテンが直ぐにあたしに振り向いた 「エリー!罰周!」 「す、すいませんっ」 私は直ぐに謝ったが 悲鳴の理由が、体育館じゅうに知れ渡るのは早かった 「ちょっと、あれ」 「…………あ」 いつもとは違う雰囲気に隣コートの男バスメンバーも直ぐに気付く 「なに?」 「なんで?」 「エリー、今の罰周ナシ」 キャプテンがあたしに言い直して 「さ!気合い気合い! もうすぐ来ちゃうよ!」 彼女の檄(げき)で、一度バラけたみんなの気合いがまたコートに戻った
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