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M高にコートを一面明け渡す為に、男バスがこちら側のコートに移動してきた 「おい安城、大丈夫か、お前」 一通りのアップが終わって 男女キャプテンが揃って私の目の前に 「え」 「エリー、ちょっと、飛ばし過ぎじゃない?」 「……いや、えっと」 「気にするな、と言ってそうもできないよな」 「そうよね……」 「私もオカシイとは思うんですが、血が騒ぐっていうか、どうにもならなくて……」 キャプテン同士で顔を見合わせる そして、次の瞬間二人は笑いだした 鬼キャプテン同士が笑っている事に何事かと部員達も集まってくる 男女総勢40名が私達の周りを囲んだ 「さぁ、そろそろ試合が始まる 男子は向こうのハーフコートで練習だ 女子ばっか見てんじゃねーぞー」 「うぃーす」 「うース」 「よし、あたしらも準備するよ!」 「はい」 「がんばれよー」 「負けんなー」 そこに、嶋口の手が肩に置かれた 「あ、嶋口、どうした?」 あたしが尋ねると嶋口は渋い顔であたしを見下ろす 嶋口との身長差は20センチくらいか 「お前、ゲンキンなタイプだな」 「は?」 「じゃ、ま、がんばれよ」 そう言って掴んだ肩を押された 嶋口は時々優しくて時々ぶっきらぼうだ だけど、彼のバスケは とても迫力があって、一年の中でも群を抜いている 練習試合が始まって 先発メンバーの中に私の名前は無かった ま、当たり前だけど 試合は常にS高優位で進んでゆく レギュラーメンバーではほぼ負ける事は無いだろう きっと先生もそう思ったんだろう ゲーム中盤に佐波と私を投入する 久しぶりの高揚感に ドーピング効果も加わって 今までに見せた事の無い程のプレイがチラホラ飛び出す 楽しくて、楽しくて 周りもよく見えて どこでどうパスを出すか どうかわすか 気付くと試合終了の合図で コートの中央に並んでいた …………足りない もっとボールに触れたい 今日の私はやっぱりどこかかっ飛んでいて練習を終えても、カラダじゅうが興奮していた
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