18/24
8806人が本棚に入れています
本棚に追加
/512ページ
「せ、先輩っ、離してください」 今、先輩、な、なんて言ったの?? 顔が熱い きっと、今死ぬほど赤いだろう頬を隠そうと、顔を背けた 「お前、今オレとの勝負に負けただろ」 「そ、それとこれとは、関係な」 「なくねーよ」 私が言い終わらないうちに 先輩は否定する 「後輩、オレがバスケ辞めた理由、聞きたかったんだろ?」 「へ」 「教えてやるよ」 「……え」 「オレを抜けたらな」 …………は? 「じゃあ、とりあえず、今の勝負はオレの勝ちだから」 「あ、あの、」 「キスぐらいしとくか」 「はっ!?」 先輩の考えてる事が分かりません、全っ然分かんないっ 手首を掴んでいる先輩の手を反対側の手で離そうとした 考えても分かるはず、男子の力なんかに かなう訳ない 「バカだな、後輩」 そう言った柏木先輩は 私の両手首を片手で掴んだ バスケットボールを片手で掴めるような人だもん、ボールなんかより面積の狭い私の腕なんて、纏めてしまうのは簡単な事だ 「先輩……は、離してください」 私はさっきから、離してください、としか言ってないな なんて、そんな呑気な事を考えていた 「キスぐらいするだろ、普通」 「……し、しません!」 先輩のおっきな掌が 迫ってくる ……に、逃げなきゃ……! 逃げるって、どうやって? 「先輩、お、落ち着いて!」 「オレはいたって落ち着いてる」 頬に添えられた先輩の掌が 私の流れ落ちる汗を拭う 「せ」 「黙って」 いや、だ、黙ってられない! 「先輩!先輩と、キスなんかしたくないっ!」 ブルブルっと掌を振り払うように首を左右に振る 「私は、先輩とキスしても、う、嬉しくありませんっ!」 唇が出ないように 『んっ』と口を結ぶ そして、んーんーと唸りながら両手を捩った
/512ページ

最初のコメントを投稿しよう!